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(1999年3月9日〜1999年3月11日) *本記事作成1999年3月

 

    MultimediaCom 99 Springが、3月8日〜12日までサンノゼで開催(BCR社主催)され、私自身仕事柄もあるが、個人的にも興味がある テレビ会議(電話)関係について、アメリカのテレビ会議事情について学んでこようと思い、見物に行きました。8日はチ ュートリアルでしたので、私が参加したのはコンファレンスでしたので9日からの参加でした。    
         
                   
    サンノゼコンベンションセンター                
                             
        昨年の10月にボストンでDVC Fall98が開催されたので見物に行ったのですが、1999年春に開催されるDVCから
MultimediaComへと名称を変更するとのアナウンスが、BCR社長のジェリー・ゴールドストーン氏から発表され、今 回がMultimediaComの名称での最初の開催となります。
   
                     
                 
会場入り口
       
                         
                    会場受付    
                         
                             
   

 

今回このML参加者の東堤さんと丹羽さん(サンノゼ駐在)、中嶋さん(日本からの参加)にも会場で会うことがで きお世話になった次第です。
この場をもってお礼申し上げます。

MultimediaComは今回で2回目の参加なのですが、やはりIPムードは変わらず展示会の方は、H323製品が各 ブースで目立ちました。ただ、やはりビジネスベースでは、まだH320が利用されているので、H320製品も各ブ ースで展示されていました。また、H324製品の展示もありました が、8×8のみ出展デモを行っていました。

展示会の場所の広さは、日本で開催されるEXPOほどの広さはなく、こじんまりしたスペースに2?30社程度が 出展しているといった感じのものでした。そのなかでも大きくブースをとっていたのは、フィリプス、ソニー、 ピクチャーテル等で、10人程度のスタッフで来場者対応をしていました。

その他のブースは、だいたい2、3人程度で対応していて、日本のみたいにミニスカートのおねーさんが愛嬌ふ りまいて客寄せしているというのはありません。

そのなかで目にとまったもの、頭にのこっているものを述べたいと思います。

 
    ACCORD(現ポリコム)ブース    
                 
       
                   
     




・Polycomは、H323対応のViewステーションを展示。384KにてLANによる接続デモをやっていました。ISDNの 384kの映像のクオリティーよりも若干落ちるような気がしましたが、ユーザインターフェースについては、グラフ ィカルなため非常にメニューがわかりやすいという印象を持ちました。担当者とも話しをしましたが、やはりユーザ インターフェースにはわかりやすい、簡単ということで大変な自信をもっているような印象を受けました。

・Tandburg。フェニックスミニタイプのH320テレビ電話(Vision600)と、フェニックスワイドタイプのテレビ会議システ ムの展示。Vision600は、エコーキャンセラー機能つき、画面サイズは、10.4インチ。でも価格はなんと!9000 ドル(確かメーカ希望価格)。展示製品は、全てH320製品でしたが、今年中にはH323もソフトウエア・アップグレ ードにて対応させるとのこと。ただし、600タイプのH323は別製品となるとの話。

・フィリップ。H320テレビ会議製品。3製品。夜エベレストという映画が近くのドームシアターで上映されたのです が、そのスポンサーが、フィリップでした。エベレスト登頂を目指し達成した人の話で、コンファレンス参加者が 招待されました。私も観ました。よかったです。
(あ、テレビ会議とは関係ないか。。)

・Compunetix。H320テレビ電話とテレビ会議システムを多地点画面分割(Continuous Presence)にての接 続デモ。

・8×8.アナログテレビ電話とディベロッパーキットとしてのH323テレビ電話。アナログテレビ電話は、8×8の 本社(サンタクララ)とデモ接続。フレーム数は少ないが映像クオリティは非常によい印象を持ちました。ご存知の とおり8×8はチップ会社なので担当の人も、テレビ電話の製造はあくまで二次的な事業だとの説明がありました。

・ピクチャーテル。コンコード、スイフトサイト、LiveLan、インテルプロシェア、ティームステーション、スターライトネッ
トワーク関係。

 
    ピクチャーテル(現ポリコム)ブース前にてCNAリポート・ジャパン編集長 橋本    
                 
       
    8x8ブース テレビ電話    
                 
       
BCR Jerry Goldstone氏(演壇)と、当時のポリコムCEO兼創業者 Brian Hinman氏(向かって右側)
                     
               

・PicturePhoneDirect。テレビ会議SI業者。ピクチャーテルからパナソニックテレビ電話まで幅広く製品を取り扱っ
ているようです。

・ソニー。PCSシリーズのテレビ会議システム製品の展示。

・AT&T。ウエアブルテレビ電話。

・WilliamsConferencing。H324の多地点接続会社。4画面分割が可能で、つまり4箇所までの多地点のみです が。ポートあたりの費用は結構安く、ISDNよりは安くテレコンファレンスができるとPRしてました。H324多地点接 続業者は、全米でもこの一社だけのようです。H320やH323とのコンバージョンもできるとのことなのでH320と
H324混在の多地点もOK。

・SprintのH320多地点接続サービス。100?200地点の多地点可。H323とのコンバージョンもOK。MCUはアト ランタ一箇所のみ。
アコードのMCUを利用しているようで、トランスコーディングやコンバージョンができるといっていたのでMGC- 100の可能性も(つまり教えてはくれませんでしたが)。予約は、原則1日前とのことのようですが、ポートがあ いていれば15分前の予約も可。ただ、数百単位接続は数日前予約要。サービスを利用するには利用者登録
必要とのこと。

 

 

 
向かって左からPerey Research& Consulting社長のChristine Perey氏、CNAリポートジャパン編集長橋本(中央)、 BCR社長 Jerry Goldstone氏
         
   

向かって左からCNAリポートジャパン編集長橋本、 Tanya Snook氏(中央)、Wainhouse Research Andrew Davis氏
(写真が古いため了承ください)

   
             

 

あとカンファレンスセッションについては、技術的なトピックをあつかったものから実際の利用事例といったアプリケーション まで幅広くあって、私自身は技術屋ではないので、技術的なセッションにはあまり出ず利用事例を扱ったセッシ ョンに主に参加しました。セッションでは、自己紹介をしなければならなくて、私も日本から来たと自己紹介したん ですが、ドイツやらフランスなどからも参加者がいるようで、また技術屋の方だけでなく、教育関係やら金融関係 などの幅広い参加がありました。

ISDNデッド説(ISDN終焉説)がコンファレンス会場を席巻した観がありましたが、必ずしもISDNが死んだいう のは時期尚早だといった意見もあって、ISDNデット説については、意見が評論家、専門家のなかでもわかれ ているようです。ブースでAT&Tの人に聞いたところ、ISDNはビックビジネスであり、キャリアとしてはやめるわ けにはいかいという。

コンファレンスに参加しているある企業の社長さんと話をしたところ、これからはISDNではなく、DSLがいい との話。ISDNはヘディク(頭痛)だとのこと。ISDNを引くよりは、DSLのほうが簡単に設置できる。

月ISDN35ドル、DSL月50ドル。DSLのほうが帯域がISDN(特にBRI)よりも全然おおきいので利用価値が 高い。確かにコンファレンスでもWANをつなぐ線は、当座はISDNかもしれないがいずれはDSLにとって変わ られるのであろうとの話が結構ありました。

また、テレビ会議を中心としたマルチメディア市場はまだまだテイクオフ(立ち上がる)していない。 理由、使い勝手が悪い、カルチャーの問題、テクノロジーがニーズに合致していないといった意見がでたの ですが、その中でも特にカルチャーの問題が一番大きいだろうということで、カルチャーを変えていくことは 時間のかかることなので市場がテイクオフするのもしばらくかかるのではないかとの見方。

テレビ会議市場が立ち上がらない原因として評論家が上げていたことで、社長がテレビ会議室に入ったと ころバグが発生してうまくシステムが立ち上がらなかったため社長が使えないと烙印を押してしまい、その 会社では、それからテレビ会議は使わなくなった。こういったちょっとしたことで市場が立ち上がらないとな ればこれほどもったいないことはないので、特にビジネスの現場では、箱からテレビ会議装置を出して、 2?3の配線をして、電源ONすれば簡単にすぐ使えるという感じでないとユーザは使わないのではないかと いった意見もありました。

テレビ会議システムを導入しても結局は、埃がかぶってしまい宝の持ち腐れになる場合が多い。

見られることについての意識について、人間は見ることはいいが見られることにはなれていないので、テレ ビ会議のカメラの前に立ちたくなくなる。こういったことも市場が立ち上がらない原因ではないかといった意 見も出ておりました。

利用事例については、医療、学校、銀行等でテレビ会議がポイントポイントかマルチポイントにて利用されているようです。

一般企業では、KINKO'Sの利用事例が紹介されていて、一番利用されているのが、会社の面接試験との ことで、その他はいろいろあったのですが面白かったのは、ワインの試飲会をテレビ会議を使って行うとい うものでした。KINKOでのテレビ会議の利用は年々増えているようです。

また、先日ピクチャーテルとインテルが提携しましたが、それについても話があって、ピクチャーテル、イン テルの提携は、1年以内に解消する可能性ががある。(Elliot Gold氏)

インテルのテレビ会議ビジネスは、切り出したかった部門であったのでピクチャーテルに投げたという感じ。 あまり儲かる商売ではない。現にISDNH320テレビ会議製品セールスは97年度から98年度にかけて減少 している。(Andrew Davis氏)

などなどで、技術的な話から利用事例、マーケティング等々幅広いテーマでのコンファレンスでした。今回の コンファレンスでは、主催者のBCRの社長であるJerry Goldstone氏や、評論家であるC,Perey氏A.Davis氏、 マルチメディアニュースを毎日メールで配信しているKOZKOMNEWSの編集を行っているT.Snook氏等とも意見 交換を行う機会もでき、是非日本の方々がもっと参加していただくといいのではないかといった話もありました。

また、BCRではテレコンファレンス専門誌DVCマガジンという雑誌を発行していましたが現在は休刊中となっ ているようなのでなぜかと聞いてみたところ、広告がつかない!という理由で発行ができないとのことだそ うです。

MultimediaComを日本でという話では、J.Goldstone氏曰く「ビジネス的に採算がとれれば是非行いたい。」

このMultimediaComは、ただコンファレンスに参加するだけでなく、毎日レセプションやパーティがあるので
参加者同士の親交も図れ、いろいろな意見交換や情報交換もでき大変有意義でした。
(終わり)